ペインティング ギフト日記  
PAINTING GIFT DIYARY

2021.04.16

ウミガメに思いを馳せて

私が幼いときから両親は共働きで、夏休みになるとよく母に祖母の家へ連れてかれました。

お泊まりになることも多く、祖母の家で大人しく絵を描いたりパズルで遊んだり、本を読んだり…

元々1人遊びが好きで私自身は毎日楽しく過ごしていたのですが、そんな私を一日中見ていた祖母は退屈そうだと思ったのかもしれません。

生まれて初めての水族館は祖母と2人で。せっかくの夏休みなんだから、と祖母の提案で出かけることになりました。車で外へ連れて行ってもらうこと自体が久しぶりで、少しワクワクしていたことを今でも覚えています。

2人で行った水族館はとても静かでした。魚たちはこちらの視線も気にせず悠然と泳いでいて、私は目の前の水槽に吸い込まれるかのように近づいていきました。

どの水槽も私にとっては初めての世界が広がっていて、顔を近づけては祖母に魚の名前を聞いたり、好きな色の魚を探したり、とにかく楽しみながら水族館内を進みます。

ある程度館内をまわっていくと、満足感と共に疲労を少し感じ始め、「そろそろレストランで昼食を食べようか。」と祖母が尋ねてきたそのとき、

「あ、亀だ!」

私は無意識に走り出していました。さっきまでの疲れも祖母との会話も忘れて、一目散に。

そこにはカラフルな魚たちで彩られたとても大きな水槽、その中を優雅に泳ぐウミガメ。

「うわあ…竜宮城みたい…!」と踵を持ち上げながらじっくり眺めていると、「本当に綺麗だねえ…」と後ろから祖母も近づいてきました。

それから会話もなく、ただ2人でじっとその場に立っているだけ。でもなんだかそれがとても幸せでした。

それ以降、私は何かで悩んだり気が沈んでいたり、1人になりたいと思った時はその水槽を訪れることにしました。

有限の水槽の奥に感じられる無限の海と、自由。学生のときも自分自身が分からなくなったら訪れて、落ち着くまで水槽を前に立ち尽くしていました。

それからだいぶ月日が経ち、仕事の関係で生まれ育ったこの地から離れると決まった日、やはり思い出されるあの水槽。

「あの水槽とももうお別れか…」と思うとなんだか寂しくて、今度は私から祖母を水族館へ誘いました。

今度は電車に揺られて水族館へ。水族館は相変わらず静かで、魚もウミガメもゆったりと泳ぎます。

2人で再び水槽を見上げると、何も変わらないその空間に安心しながらも、もう二度と見れないのかな…なんて、気がつくとそっと水槽の中を撮影していました。

その写真は絵画として今、私の部屋に飾ってあります。

新しい生活が始まる不安から、懐かしい光景が、この絵画がきっと私を守ってくれる。

ウミガメと共に、これからの人生も頑張っていこうと思います。

 

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